歯周病と全身の病気―糖尿病

歯周病は糖尿病のリスク因子

厚生労働省の調査によると、糖尿病が強く疑われる人は740万人、可能性を否定できない人を合わせると1620万人(平成15年『糖尿病実態調査)もの数にのぼることがわかりました。

糖尿病は、すい臓から分泌されるインスリンというホルモンの働きが不十分なため、血液に含まれるブドウ糖の量(血糖)が異常に多くなる病気です。血糖値が高い状態が長く続くと、血管壁に負担がかかり、その結果、さまざまな合併症を引き起こします。三大合併症といわれる腎症や網膜症、末端神経障害をはじめ、動脈硬化や脳卒中、心筋梗塞など、合併症は全身に及びます。しかし、血糖が高いだけで自覚症状はとくになく、それが糖尿病の怖いところでもあるのです。

最近の研究で、歯周病菌がこの糖尿病の病状を進め、悪化させるものであることがわかってきました。これまで、糖尿病が歯周病のリスク因子であることは知られていましたが、逆に、歯周病も糖尿病のリスク因子であることが解明されてきたのです。歯周病と糖尿病は、お互いに悪影響を与え合う存在であるのです。

インスリンの働きを阻害する生理活性物質があった

歯周病が長引き、炎症が拡大していくと、免疫機能がバージョンアップし、さらに菌とたたかうため、サイトカインなどの生理活性物質が作られます。そのひとつにTNF‐αという生理活性物質があるのですが、実はこれにはインスリンの働きを妨げる作用があるのです。インスリンには、血糖を
低下させる働きがありますから、TNF‐aの作用で働きが阻害されると、血糖のコントロールがうまくいかなくなり、糖尿病は悪化してしまうというわけです。

糖尿病患者さんの歯周病を治療したところ、血糖コントロールがよくなり、糖尿病が改善されたという報告は、歯周病が糖尿病のリスク因子であることを裏づけています。

全身の健康のために歯周病予防・早期治療を

そのほか、ある種の慢性関節リウマチ、慢性腎炎など、歯周病菌が関係しているとみられている全身の病気は少なくありません。それぞれの病気と歯周病との関係はまだはっきりしたものではありませんが、歯周病の菌自体や、菌の持つ毒素、あるいは炎症が生みだす生理活性物質によるものと推測することはできます。

いずれにせよ、歯周病の予防と早期治療の大切さは、いくら強調しても、しすぎることはないでしょう。歯周病を放っておいたら、ある日突然、心筋腫塞や脳卒中の発作におそわれかねないし、いつの間にか糖尿病を進行させたりするのですから……。

  • Yahoo!ブックマークに登録する
  • はてなブックマークに登録する
  • livedoorクリップに登録する
  • Buzzurlブックマークに登録する
  • del.icio.usブックマークに登録する
関連記事
  1. 歯周病と全身の病気―糖尿病
    歯周病菌がこの糖尿病の病状を進め、悪化させるものであることがわかってきました。これまで、糖尿病が歯周病のリスク因子であることは知られていましたが、逆に、歯周病も糖尿病のリスク因子であることが解明されてきたのです。
  2. 歯周病と全身の病気―妊娠への影響
    妊娠している女性が歯周病にかかっていると、早産になったり、赤ちゃんが低出生体重児となる確率が7倍も高くなる、というものでした。
  3. 歯周病と全身の病気―心内膜炎・誤嚥性肺炎
    先天的な心疾忠を持つ人は、歯周病予防をとくに心がけ、歯磨きの際の出血など少しでも症状があるときは、早めの治療に努めましょう。
  4. 歯周病と全身の病気―動脈硬化
    歯周病菌の影響で、糖尿病などの持病が悪化したり、動脈硬化や心内膜炎などの病気を引き起こすほか、早産など妊娠中のトラブルにも影響を与えるといったことがわかってきたのです。
  5. 歯肉炎から歯周炎へ、症状は進む
    歯周病とは、歯を支えている歯肉や骨に障害の起きる病気のことで、このうち、歯肉に限った炎症を歯肉炎、骨を含めた歯周組織にまで炎症が広かったものを歯周炎といいます。

漫才