歯周病について


豊かな老後を送る決め手、歯周病予防

歯周病は生活習慣の改善で予防可能

毎日の生活習慣の影響で、発症したり進行する病気を生活習慣病と呼びます。その意味で、毎日の口腔ケアをきちんとしているかどうか、免疫力を落とさない生活を送っているかどうかが発症に影響する歯周病も、生活習慣病といえるでしょう。生活習慣病は、毎日の生活習俗の見直しで予防することができるのです。

実際、厚生労働省は、「健康日本21」という21世紀の国民健康運動を2000年から立ちあげましたが、その中の、予防努力が必要だとする生活習慣病に、がんや心臓病、脳卒中、糖尿病などと一緒に歯周病も含まれています。歯の健康と全身の健康は分かちがたく結びついているという視点から、21世紀の長寿社会を支えるためにも、歯の健康に積極的に取り組もうということでしょう。

そのため、自治体での歯周疾患険診(40歳・50歳対象)の実施を呼びかけているほか、進行した歯川病のある人(50歳)を現在の46.9%から33%以下にするといった数値目標も掲げています。


作られる!悪いかみ合わせ

歯列がデコボコの箇所にプラークが増殖

悪いかみ合わせのことを、不正咬合といいます。このうち、前項で触れたように、歯周病の原因となる外傷を引き起こすようなかみ合わせのことを、外傷性咬合といいます。

外傷が起きるには、さまざまな原因があります。たとえば、虫歯を治療しないで、そのまま放置しておいたり、歯が抜けたままにしておくと、歯並びがおかしくなってきます。内側に入り込んだ歯や、外に飛び出した歯などがあり、歯列がデコボコになってしまいます。デコボコの歯列のうち、くぼんだ部分は汚れがたまりやすく、飛び出た歯も唇に触れやすいので汚れが付着しやすくなります。そのうえ、このような場所は歯磨きもしづらいため、プラークが増えて歯周病にかかりやすくなります。歯周病を発症した場合も、病気の進み方がに早くなる傾向がみられます。


かみ合わせが悪いと歯周病になりやすい

特定の歯に異常な力が加わり、歯はグラグラ

最近注目されてきているのが、かみ合わせと歯周病の関係です。かみ合わせの悪さが歯周病に与える影響は、直接的な面と間接的な面のふたつの側面を持っています。

まず、直接的な物理的原因としては、次のようなことがあげられます。かみ合わせが悪く、かむたびにある特定の歯だけに力が加わっていると、組織が圧迫されその歯のまわりにある歯根膜繊維の血流が悪くなり変性して、歯はグラグラしてきます。ちょうど、砂の中に棒を立てぐいぐい押していると、まわりの砂が落ちてきて棒はますますグラグラし、まわりの穴が大きくなるようなものです。

常に歯がグラグラしていると、だんだん歯周ポケットが深くなっていきます。歯周ポケットは、歯周病の原因菌であるグラム陰性菌の格好のすみか。ここに細菌が住み肴き、感染すると、歯周病を発症してしまうのです。

このように、歯周糾織に過度な力が加わって起こる損傷を咬合性外傷といいます。歯肉のはれなど歯周病の症状はみられないのに、歯だけがグラグラしている場合は、この咬合性外傷であることが多いようです。

咬合性外傷を引き起こすような異常のあるかみ合わせのことを、外傷性咬合といいます。外陽性咬合の原因の多くは、不適切な歯科治療です。


免疫カダウンが歯周病を招く

口の中を清潔に保っていても歯周病になるのはなぜ?

毎食後きちんと歯を磨き、口の中を消潔に保つよういつも気をつけているのに、歯周病になる人もいれば、歯にプラークがいっぱいついて、歯周病菌がうじやうじやいるような口の中なのに発症しない人もいます。

これは歯周病の発症に、細菌だけでなく、免疫力が大きく関係しているからです。もちろん、発症の条件に、原因となる歯周病菌の存在は欠かせませんが、免疫力が低下しているかどうか、ということも大きな要因になるのです。


歯周病菌とたたかう免疫システム

歯周病菌が増えてくると免疫システムも活発に

口の中に歯周病の原因菌がどんどん増えてくると、これを防ぎ排除しようとする体の働きが活発になってきます。このような、外敵から身体を守ろうとする生理的な働きを免疫反応といいます。

歯肉炎などで炎症が起きるのは、実は免疫システムがしつかり働いている証拠なのです。これは生来人間が持つているもので、自然免疫といいます。外敵から守ろうとたたかっているから炎症が起きるのです。ところが、炎症が長引くと、免疫反応も過剰な力を発揮し、自らを傷つけてしまうことがあります。それが、重症の歯周病の場合、なかなか回復しない一因にもなってきます。

重症化で登場するサイトカイン

歯肉炎の段階では細菌の数も少なく、免疫システムの主役・血液中の白血球を構成している好中球とマクロファージという通常の武器で敵である細菌をやっつけることができます。このとき大切な役割をするのがサイトカインという生理活性物質です。これは、免疫システムのスイッチにあたります。ところが、歯周炎まで進むと、事情が変わってきます。

炎症が拡大・長期化した歯周炎になると細菌も多くなり、通常の武器だけでは太刀打ちできなくなります。そこで、白血球内のリンパ球にも応援を頼み、リンパ球はさらに強力なサイトカインを送りだし、一挙にたたかいに打って出ます。これを獲得免疫といいます。ところが、このサイトカインが自
然免疫のときよりも多く生産されると、敵である細菌だけでなく、自分の細胞組織も傷つけてしまうことがあるのです。


全身の病気も引き起こす歯周病菌

歯周炎の菌の多くは、酸素を嫌う嫌気性菌

口の中にいる細菌のうち、同じ悪玉菌でも、虫歯の原因菌と歯周病の原因菌は異なります。さらに、歯周病のうち、歯肉炎と歯周炎でも原因となる菌は違います。

虫歯の原因になるのは、連鎖球菌、乳酸カン菌、放線菌などで、歯肉炎の原因菌は、アクチノマイセスービスコーサスなど歯肉縁上にたまったプラークに増殖している細菌たちです。歯肉縁上というのは、歯肉と歯が接している、目に見える部分のことをいいます。

虫歯の菌も歯肉炎の菌も、その多くが好気性菌といって酸素を好む菌です。目の中の菌のうち、歯の表面など目に見えるところにいる菌の多くは好気性菌です。

一方、歯周炎の原因菌は、主に酸素を嫌う嫌気性菌です。歯周炎を起こす細菌は、歯岡ポケット(内の直接酸素に触れない歯肉縁下のプラークに増殖しています。歯肉縁ドというのは、歯肉と歯が接した部分より下の歯の部分で、空気に触れにくい場所です。嫌気性菌は酸素を嫌う菌ですから、歯周ポケットの内側とか、舌の裏側など、口の中でも空気が届きにくいところにたくさんいる菌なのです。


プラーク1mg中に数千億の菌がいる

口腔内は善玉菌と悪玉菌でバランス保持

歯周病の原因には、細菌・免疫力・かみ合わせの3つがありますが、直接の原因となるのは口の中にいる細菌です。歯周病は、細菌による感染症です。

もともと口の中には300~400種類の菌がいて、これらを口腔内常在菌といいます。目腔内常住菌にもいろいろな種類がありますが、7割ぐらいを善玉菌、3割ぐらいを悪玉菌が占めています。悪玉菌には虫歯菌などもあり、歯周病の原因になる菌は30~40種類ぐらいあるとみられています。

口の中では、これら常在菌により細菌どうしのバランスが保たれています。しかし、体調が悪化するなど何らかの理由でそのバランスが崩れると、悪玉菌が増殖し、虫歯や歯周病、口内炎などの病気が発生してしまうのです。


細菌・免疫力・かみ合わせが歯周病の原因

自ら持つ内毒素で、歯肉や歯槽骨を攻撃する歯周病菌

歯周病とは、歯肉炎と歯周炎のふたつを合わせた呼び名です。ここでは簡単に、歯肉にだけ炎症が起きたものを歯肉炎、歯を支えている歯槽骨にまで炎症が広がった状態を歯周炎と呼ぶと理解しておいてください。なお、歯槽膿湘とは重度の歯周炎のことです。

さて、歯肉炎にしろ歯周炎にしろ、炎症が起きているのですから、その原因となる細菌がいます。しかし、歯肉炎と歯周炎では、原因となる細菌はそれぞれ違いますし、虫歯の原因菌も、歯肉炎菌や歯周炎菌とは異なります。

歯肉炎や虫歯の菌と違い歯周炎の菌がやっかいなのは、菌自体が細胞内毒素を持っていることです。菌の細胞内にあるこの内毒素が、歯肉の周
囲組織を攻撃し傷つけ、その結果歯槽骨を破壊するのです。


いつまでも自分の歯でいたいなら歯周病予防が第一

体の寿命は80歳を過きても、歯の寿命はまだ66歳

世界でも1、2位という日本人の平均寿命はますます延びをみせ、女性85.23歳、男性78.32歳(2002年度・厚生労働省発表)という長寿時代となりました。

一方、歯の寿命は、厚生労働省の「歯科疾患実態調査」(平11年度)によると50歳ごろから60歳半ばごろまでで、。番長命な下あごの犬曲で男性66.7歳、女性で66.2歳です。体の寿命にくらべ、いかに歯の寿命が短いかがわかります。このままでは長生きすればするほど、曲のない人生が延びていくということになりかねません。

厚生労働省も「八〇二〇運動」といって、「80歳までに20本以上は自分の歯を残しましょう」という運動を進めていますが、残念ながら80歳以上で自分の歯は、6本しか残っていないという現状です。


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